歴史的文書2020年08月05日 06時10分31秒

発掘した書面をつらつらと見ているとこの1枚が目にとまった。
(読みやすいように画像加工済み)

色々調べつつ文面を読み解いてみた。

徴臣等(しんら) 謹(つつし)で上陳す 去月二十三日 朝鮮なる 我公使館を同国暴徒の
襲う所となり 花房公使を始め駐在官史 かろうじて退去 英艦の救護
を得て同二十九日長崎表に達せらるる云々 その為の死傷数多くこれあり(有之)
赿(おそい)諸新聞紙上に散見す ああ朝鮮の我に無礼を加える茲(ここ)に
数回 然れども 今般のごとき甚だしきはあらず よっ(因)てこれ再び公使を発せられ
これ(之)に戦艦数隻を付けせられしと聞き 果たして然らば一旦彼れが不審の
を詰問せられ事 機に依っては御征討あるべき(可有) これは必然の義と奉り愚行そうろう
依って此の節柄の天機奉り伺う度 就(つ)いては兵備の如きは充分御厳整は
これあるべくそうろう(可有之候)得共 著し事をここに訴えるの日に至らば 臣等また不肖と雖も(いえども) {傍観座視
するに忍びず 仰ぎ}願わくば誅征の御用途に応じ奉り万に一つの御国恩を
報酬支度このたび奉り懇願そうろう 色々の裏事情御洞察 しかるべく(可然尢)その筋に御執奏
くだされたく(被下度) とりわけ(尤)西南事変に従軍せし者その他有志輩も夥多 
これあるべく そうらえども(候得共) とりあえず(不取敢) 臣等より上陳仕置き候なり」

{}の間は多分削除を意図していると思われる。原文では書かれた文字の上に○が書かれている。「不審の廉」=理由、執奏」=取り次いで奏上すること。

誤字もしくは現代とは異なる表記があったり、昔の独特の言い回しがあったりして、短い文章ではあるが解読には時間がかかった。誤字に関しては、前後の文脈から解釈して書き直した。文字解析と言い回し解析には電子辞書が役に立ったと書いておこう。

何の事件に関するものなのかは年号が書かれていないので解析に難儀したが、「朝鮮」「公使館襲撃」「花房公使」で調べてみると明治15年 7月23日に起こった壬午軍乱に関するものらしいとわかった。

詳しくはリンク先のWikipediaに任せるが、そこに「日本国内では朝鮮に対する即時報復説が台頭した」とあるので、この文面もその1つかもしれない。うちのご先祖もそうすべきということで文書を書いたということだろう。ただ、これがここにあるということは、書いたけど提出はしなかったか削除分を抜いた清書版を送ったかいずれかだと思う。

歴史的事実に関する書面が見つかったのは、書面解読に対して意欲の源になる事であった。

もっとも、今書面原本は全てお寺さんにお預けしていて、写真に撮ってあるのはごく一部なのでこれから先どんどん解読したら発表する、というわけではないけどね。そもそも江戸時代の文面は達筆すぎて読めないし。

(C)おたくら編集局