◎良作アニメ紹介;クレヨンしんちゃん(後編)2016年02月26日 07時52分00秒

いよいよベスト3。

第3位は「逆襲のロボとーちゃん」。監督は「高橋渉」。
オトナ帝国以降のしんちゃんで泣くほど感動することはない、というか感動路線は封印されたような感があったけど、この作品では久しぶりにその方向に向いた。
ウィル・スミス主演の「アイ・ロボット」と言う映画があるけど、ちょっとそれに似た描写がある。個人の確定は、見た目ではなくその行動によって示される、というテーマか。

第2位は「モーレツオトナ帝国の逆襲」。監督は「原恵一」。
この映画は40~50歳代の人には直撃だろう。余りに懐かしくて最初の5分で哀愁いっぱいになる。
千里万博会場は実家から歩いても行ける距離だったから思い入れはある。残念ながら5歳程度ではそれほど記憶はないが。サリーちゃんも懐かしい。スバル360も現役時代を知ってるし、TOYOTA2000GTの実写は見たことないけど、よく似た形のヨタ8は友人が乗ってたので知ってる。今あんな面白い車はできないだろうなぁ。安全対策などのせいで。など、出てくるものも懐かしいし、そもそも昭和年間の雰囲気がたまらない。あの当時のすべてが良いとは言わないけど(禁煙がだけは今のほうが圧倒的に良い)、今の礼儀のない、人間性を失った世界より騙して殺してなんぼの世の中が良いはずがない。

「イエスタデイ・ワンス・モア」が本当にあったら絶対に入隊する。京都支部・・・はちょっと人多くなりそうなので、「柏崎支部」は任せろ!!(^_^;)

音は5.1chサラウンドだけど、シンちゃんたちが隠れた子供ハウスの周りを回る時、音も回るのが面白い。ぜひサラウンドで聞いて欲しい。


第1位は「戦国大合戦」。これも監督は「原恵一」。
しんちゃん映画だけでなく、私の(少ないけど)見た全ての映画の中で、邦画・洋画を問わずダントツのNo.1。
まさかしんちゃんで悲恋が描かれるとは思わなかった。しんちゃんでこの物語は反則だろう、とも思うほど。
でも、ちゃんとしんちゃんらしいギャグもあって、そのバランスが絶妙。

さらに細かい描写がとにかく正確。武士の戦闘というものはああいうものらしい。槍での戦闘(槍は突くんじゃないぜ)、(初期の)鉄砲の威力、軍配、戦いの始まりと終わりなど枚挙にいとまがない。実写でもこれ以上のものはない。逆に実写ではこれほど正確にするとお金がかかりすぎると言う話もある。実写というと「BALLAD 名もなき恋のうた」で一応なされている、どうだかなぁ。録画したけど見てない。

音作りもさり気なく良い。環境音がいい味出してる。鳥の鳴き声とか。機会があればサラウンドで聞いて欲しい。

何度見ても最後は泣かずにいられない。至高の1作。
オトナ帝国とこれとどちらを1位にするかは迷うところだけど、オトナ帝国は40~50歳代に特に共感する部分があるのに対し、戦国大合戦はすべての世代に通じると思うから。
実はこれは2枚買ってる。1枚は扱いをしくじって傷をつけてしまったから。日本版で2枚買ったのはこれと先に紹介のカードキャプターさくら映画のみ。それだけの価値あり。
さらに、オトナ帝国と戦国大合戦の2作はBD出たらまた買うだろうなぁ。原恵一監督分をまとめて出して欲しいけど。

・・・

原恵一監督作品については他のも一応少しずつ語っておきたい。
「暗黒タマタマ大追跡」は原恵一初監督作品。面白いんだけど、初回で気合が入りすぎたのか、余りにいろいろ詰め込みすぎてまとまりがついてない感じがする。クレヨンしんちゃん映画ではこれまでオカマキャラを登場させるというフォーマットがあって、原恵一監督もこの作品まではそれを踏襲しているけど、これ以降は(ちょっとそれっぽい人入るにせよ基本)切っている。それは良い判断だったと思う。無理やり入れて話を曲げるよりよほど良い。
「嵐を呼ぶジャングル」は人間としてのアクション仮面の葛藤の描写が素晴らしいが、子供向けとしてはどうかと思った。ちょっと苦手な1作。

ベスト7に入れなかったけど、音だけで言えば「踊れ!アミーゴ!」が一番。特に重低音の使い方が素晴らしい。重低音の使い方では、私の見た作品の中で一番かも。良いオーディ装置を持っている人は音量上げて聞いて欲しい。ご近所迷惑にならない程度に。
しんちゃん映画は音については特筆すべきものはあまりないんだけど、アミーゴ(とオトナ帝国の一部)だけは別格。

いっぽうで、最低の作品は「金矛の勇者」。本郷みつるさんが久しぶりに監督についた作品だけど、なんか途中まで誰かが作ったのを無理やり引き継がされたのではないかと思うほどデキが悪い。敵との追いかけっこの場面が手抜きのもろCGでしかも冗長。物語もいまいち。

最初にも書いたけど、クレヨンしんちゃんは子供に見せるべきアニメである。下品?あれくらいのこと、子供なら普通。いつかは自分で恥じ入る時が来る。心配する必要などない。それより、コナンで殺人が当たり前なんて思う方がよほど怖い。

・・・

そうそう、しんちゃん映画で語っておくべきことがあった。
しんちゃん映画にはアニメの真髄がある。やっぱりアニメは動いてなんぼ。物語も大切だけど、動かないとアニメである意味が無いわけで、それは造形の綺麗さに優先される。しんちゃんは映画でも造形は細かくない。描きこまれた部分なんてない。でも動きは秀逸。だから面白い。オトナ帝国のタワーを駆け上るしんちゃんの描写なんて傑作だ。これはもっと評価されるべきだと思う。描きこまれ方で高く評価されるアニメもあるけど、それで動きが悪かったら本末転倒(「AKIRA」は描写で高評価だけど、個人的にはそんな良い「アニメ」とは思ってない。)。

あと進行が早いのもいいところ。基本子供が多数見るアニメなわけで、その分子供が耐えられる=飽きない時間になっている。その制約の中で描くから冗長性がないし、物語にもメリハリがある。長くても冗長なだけの作品も結構ある中で、この取捨選択は見事だといえる。もちろん、すべての作品でそれが成功しているわけじゃないので、それがしんちゃん映画の中での評価の高低につながっている。

ってなところで「しんちゃん論」終わり。
「オトナ帝国」と「戦国大合戦」は日本人なら全員見て。
以上。

◎良作アニメ紹介;クレヨンしんちゃん(前編)2016年02月25日 07時43分32秒

クレヨンしんちゃん。

しんちゃんといえば、「子供に見せたくないアニメ」にいつも挙げられているようだけど、こんな良い作品見ない、もしくは見ても偏見でその良さをわからないなんて、感性が腐っているか人生を無駄にしてる。私に言わせれば探偵のコナンのほうがよほど見せたくない。子供向けで殺人なんて最悪。

いきなり脱線したけど、しんちゃん映画には真髄というか、全ての作品に貫かれている鉄則がある。それは
 「家族愛」
 「登場人物を、敵であろうとも殺さない」
である。後者に関しては唯一例外的に「戦国大合戦」で破られたけど、あれだけは仕方ないかったかと。
この鉄則があるからこそ、しんちゃん映画は大きく道を外さない。それが見る価値。

特に映画には傑作も多いので、今回はその上位7作を上げてみたいと。なぜ10作でないかというと、7作までは何度も見ていて容易に選べたのだけど、残り3作が選びづらかったので。

第7位は「3分ポッキリ大進撃」。監督は「ムトウユージ」。
クレヨンしんちゃん映画では毎回何かしらのテーマというか基本となる映画のジャンルがあるのだけど、この作品では「怪獣」。主人公はミサエ。みさえの日常を描いた作品はこれだけかもしれない。「変身」によって日常を非日常が入れ替わるが、徐々に非日常に引きずられてしまうのが見どころか。
メインテーマは「ヒーローの条件」。強さの意味を語っている。また、しんちゃんがとても良いお兄ちゃんをしている。これを見てまだしんちゃんが良くないアニメだというやつがいるなら、それは思い込みでしか物事を判断できない屑だと言い切ってしまおう(過激)。
そういえば、みさえが変したプリティミサエスの声は福圓美里さんが当てているが、声の質がならはしみきさんに似てるのね。今気がついた。それと、絵コンテには原恵一さんが参加している。スタッフロールを見てて気がついた。
そういえば、怪獣としてギター侍が出てるんだけど、今どこに行った?(笑)

第6位は「温泉わくわく大決戦」。監督は「原恵一」。
この映画のベースは「ゴジラ」かな?原恵一監督はとにかく細かい描写が正確なのだが、この作品も戦車の砲撃とか着弾が正確。前作の「暗黒タマタマ大追跡」では薄かった家族愛が色濃く描かれている。
しんちゃん映画には有名人がゲストとして出ることが多いけど、この作品は丹波哲郎が出ている。ゲスト扱いが一番本筋に必要だった作品かな(他のは切り捨てても問題ない)。声優としてうまいかどうかは別として。
あぁ、温泉入りたい(^_^)。

第5位は「電撃ブタのヒヅメ」。これも監督は「原恵一」。
「アクション映画」がベース。ジャケット見たらわかるけど、アーノルド・シュワルツェネッガー似のキャラクターが出てくる。声はもちろん玄田哲章さん(吹き替え映画でシュワちゃんの声を多く当てている人)。
今作の主人公はブリブリざえもん。(次紹介の)ヘンダーランドでは元々の性格だけで描かれ、この作品も最初はそうだけど、最後は改心して?本当のヒーローになった。
ブリブリざえもんの声は今はなき塩沢兼人さん。似ている声の声優さんはいるけど、あのアドリブというか感覚を再現できる人は居ないかな。例えば園長先生の納谷六朗さんもなくなっているけど、代役が立っている。でもブリブリざえもんだけは別声優さんへの置き換えはされていない。合掌。

第4位は「ヘンダーランドの大冒険」。監督は「本郷みつる」。
本郷監督の第1期の最終作品。本郷監督はシリーズ第1作からここまで担当されていたが、最初の内は子供映画の域を超えなかった。だんだん良くなって来てこの作品では大人も泣かせる。脚本に原恵一さんがかかわっているかもしれないけど。
またブリブリざえもんの本質が見事に描かれている(^_^;)。ブリブリざえもんが活躍(?)するのはさきのブタのヒヅメとこれだけなので、そのファンの方は必見。
しんちゃん映画ではオカマキャラが出てくるのがお約束だけど、大抵は脇役。でもこの作品では敵の親玉を「大塚芳忠」「田中秀幸」という大御所が務めていて、これがまた反則なほどはまっていて素晴らしい。ゲストの雛形あきこはともかく、実力のある声優さんの力が見事に活かされた1作。

ベスト3は後日。

良作アニメ紹介;ゼーガペイン2016年02月24日 15時07分45秒

「ゼーガペイン」
2006年の作品、全26話。
監督は「下田正美」さんで、有名ではないかもしれないけど「セイバーマリオネットJ」「藍より青し」などを作っている。みんな古いけどね。最近ではガールズ&パンツァーのオープニング絵を始め、絵コンテを切ってる事が多いみたい。

この作品はアニメオリジナルのロボット物。実体を持った人類が滅んだ後、量子化された人類と人類を滅ぼした敵との戦いを描いた作品。
量子化された=データ化された人間は不死身なのかとか、時間送り返しとか、無限進化だとかそういうのがテーマになる。ゼーガペインとは「是がペイン=痛み」と言う意味で、テーマからくる痛みをうまく意味する名前だと思う。

なかなか斬新な設定で好き。でも映画マトリックス(1999年)の世界観に似ている気もする。見ているものが現実とは限らないという意味では同じ。まああちらは人類は滅んでないし、戦うのは基本的にコンピューターの中での仮想の人間だけど、こちらは実体を持った人間は滅んだ後、戦うのは現実の世界でロボッ トでなので舞台が正反対である。人類の復活劇という意味では同じ?いや、マトリックスは「命がけでバグを直したプログラマーの物語」(T_T)なので違うか。

人物造形は良いと思う。ロボットの造形が直線的でイマイチという人もいるようだけど、あえて狙ってるんだろう。
リアルじゃないけど、ロボット物として秀逸な1本。

それにしても自分の語彙の少なさが嫌になるねぇ。もっとうまく紹介したいんだけど。

私流良いアニメの選び方(時々更新^_^;)2016年02月23日 06時46分37秒

私流の良いアニメの選び方。好き嫌い中心じゃなくて、作品としてみた時に見る価値が有るかどうか。「良作アニメ紹介」の選定基準にも影響している。

・「巨乳」「爆乳」と書いてあったら100%駄作
これはもう一切例外がない。
「トップをねらえ!」のように、乳揺れがアイテム的に必要な作品はあるけど、それだけを売りにしたアニメは100%駄作。扇情的なだけ。こんなに目を見て欲情しているようでは日本男子もおしまい。男はみんな巨乳好きとか勝手に言うな。その大きさが病的なものは見ていて吐き気がする。
同じ意味で「パンチラ」というのも絶対駄作。それらにいくら理由付けをしてもダメ。今季はないけど前期はこれが反乱して極めて不快だった。
ちょっと古いけど「一騎当千」「マケン姫っ!」とかが最たるもの。前期は「ヴァルキリー・ドライブ」というのが該当。今季は相当作品なし。

・ハーレムアニメは8割方外れ
ハーレムアニメとは、主人公男一人に対して無意味に女性が群がってくるアニメのこと(逆ハーレムもある)。
例外もあるけど、殆どは男の欲望というより願望だけで描かれたものなのでくだらない。ほとんど定型パターンに陥っているので先が読めてしまうというのもある。

・設定の難しさだけを売りにしているのも外れ
設定集を買えと言わんばかりの作品があるが、そういう設定が好きな人だけ向けで全く面白くない。
設定を登場人物に語らせまくるのもあるけど、見てわからない設定はその時点でオーバースペック。細かい裏設定を知っているとより楽しめるのと、知らないと全く世界観がつかめないのとは全然違う。その辺りを勘違いしている作品がある。
「境界線上のホライゾン」とかがその最たる例。物語の面白さは設定の複雑さや登場人物の多さや奇抜さでは決まらない。今季は「霊剣山 星屑たちの宴」がそう。まるで中国語聞いてるみたい。

・やたら声の高いだけの声優を集めたもしくは主人公のアニメは聞くに耐えない
登場人物がキンキン声、加えてそのキャラクターの性格が甘えているともう殴りたくなる。釘宮理恵さんは声は高いけどあの性格描写があるから聞いてられる(というか好き)。
「緋弾のアリアAA」がその最たる例。釘宮さんも出てるけど、新主人公の声と性格がもうダメ。前作の「緋弾のアリア」は良かっただけに、この変貌には驚きと強い失望であった。「ヴァルキリー・ドライブ」はこれにも該当。

・同様に、変な言い回しをするキャラクターを勢揃いさせているのも聞いていて不快になるだけ。
それがさり気なく、効果的に使われていれば良いのだけど、本当にくどくてうざい時がある。「何だよその言い方!」ってな感じ。今季ならなんとかバハムートの「YES」とか。

・会社で選ぶなら、「京都アニメーション」「シャフト」は選んで安心で、傑作も多い。前者なら「CLANNAD」「けいおん!」、後者は「まどか☆マギカ」が代表作。
「PAWORKS」は心情を描くことがうまい会社だけど、行き過ぎて病んでることがあるので見る人を選ぶ。「true tears」「ANGEL Beats」が代表作。
「A1-Picture」もまあまあ。他は見て判断。
上記会社以外で、ハズレの少ない監督さんの名前であげるとすると、今劇場版以外の監督さんなら「大地 丙太郎」「水島努」「佐藤順一」さんか。多分じゃなくて絶対、この人達の作品は後日ネタにする。

・Hゲームが原作でもいい作品はたくさんあるので、毛嫌いしない。
「Kanon」「うたわれるもの」など名作もある。まれにHなままのもあるけど。

・ラノベ原作は要注意
ラノベ自体が設定の違いだけで話の展開がパターン化しているものが多いので。いや、原作読んでないのにこういうのもあれだけど、アニメ化されるとほとんどワンパターン化されてるような。
一方で、私は別に原作至上主義ではないので、原作と異なる話だからといって拒むことはない。要は見られるかどうかだけが重要。

・つくり手のよがりの作品はだめ
「涼宮ハルヒの憂鬱」第2期のエンドレスエイトとか。見ていてバカじゃないの?と思った。「ちょっとづつ違うんです」って、そんなのは作り手よがりなだけ。見ている側には単なる繰り返しで、つまらないを通り越して怒りを覚えてくる。TV放映時ならまだしも、そのDVDを買うなら「金返せ!」級(買ったから言うぞ)。
「アクションがすごいとか」自画自賛しているのも相当。

・極めて個人的には「ガンダム」と名が付いたら見ない。
もはや過去の栄光。御大自らが作ろうとも同じ。

さらに言えば、私は造形で選ぶところがあり、まれに、どうしてもキャラクター造形的に受け付けられないことがある。いくら巷で人気があっても、見られないものが。そういうのはすぐ見なくなるので作品名も覚えてないけど。

地上波では、昔は大阪で10ch=読売テレビ系がアニメの扱いが非常に上手かった(OVAを放映する「アニメだいすき!」はかかさず見てた)けど、今は4ch=毎日が一番かも。テレビ東京もうまいし放映作品も多いけど、うちでは見られないからなぁ。BSでは断然BS11。こういうのはプロデューサーの質なんだろうね。

という感じ。毎期初回は出来るだけ見るようにしてるけど(第2期以降で、前期がダサくだった作品は除く)、最初の5秒で消してしまう作品が最近はとても多い。

はっきり言えば、1クールアニメは半分に減らしたら良いと思う。もっとじっくり作ってくれ。それと巨乳アニメばっかり作っている監督は放逐しろ。日本アニメの恥。

◎良作アニメ紹介;カードキャプターさくら封印されたカード2016年02月22日 06時51分41秒

CLAMP原作の「カードキャプターさくら」が1998年からNHKでアニメ化されて、その最終回の後日談を描いた作品。2000年。もう16年も前になるのか。

CLAMPの作品には病んでるのが多いと思ってるけど、この作品はひたすら明るく前向きで、主人公も可愛いので大人気だった。全70話のTV版が終わった特は残念だった。
で、その最終回で残された「思い」に対する解決編がこれ。

TVアニメの映画化といえば、いわゆるファンムービーというのも多くて、ファン意外が見たら全然面白くないの物が多い。ところがこれは1本の作品として完成されており、十分に見応えがある。

もちろん設定を知るにはTVもしくは原作を知っている必要があるが必須ではないし、逆にそれを知っている人は必見の1作と言っても良い。私が泣いた数少ない作品の1つ。しかも悲しさではなく感動で。

監督は浅香守生さん。他の作品では同CLAMPの「ちょびっツ」や「ちはやふる/2」なども監督している。優しい絵柄を使い、心情を重くなく描くが得意な方だと思う。この作品でも、少女ではない私にもその心情がわかる、ような気がするほどの描写であった。

主人公たちの思いを中心にはしているが、カードキャプターとしての戦い(?)も描かれているし、お兄ちゃん、クラスメイト、ケロちゃん、エリオルなどなど、主たる登場人物やその関係も、短い時間の中に見事に散りばめてある。この辺は見事。「非の打ち所がない」。

同時上映された「劇場版ケロちゃんにおまかせ」も必見。「あぁ女神さま!」でも共演した久川綾さんと冬馬由美さんの掛け合いが面白い。大阪人なら「たこ焼きは転がったりせえへん」と突っ込みたくなるけど、そこはアニメだから(^_^;)

こちらは北米版。
絵柄がぜんぜん違う。なお、この北米版には「劇場版ケロちゃんにおまかせ」は収録されてない。

実は日本版は後日前の劇場版も合わせたリマスター版が出ていて、それも持っている。それほど思い入れがある(それはスキャンしてないので画像がない)。BDは買ってないけど。

それにしても、跡地に遊園地が出来るって、エリオル(というかクロウ・リード)の屋敷ってどんだけ広かってん。

追伸:
カードキャプターさくらはTV版も思い入れのある作品。機会があれば是非見て欲しい。子供に見せたいアニメの上位作品。
そういえば、DreamCastの「カードキャプターさくら 知世のビデオ大作戦」というゲームも買ったなぁ。ゲーム自体は面白くなかったけど、特典の枕カバー、スプーン、フォークは今も持ってる。スプーンは現役。時計、お皿はどこにいったやら。

さらに追伸:
2016/04/06からTVシリーズの再放送が始まった。たぶんリマスタリングされているとはいえ古いので画質はあれだけど、内容は素晴らしいので必見。

◎良作アニメ紹介;トップをねらえ!2016年02月21日 06時18分00秒

「トップをねらえ!」
1988年、全6話。
OVAの頂点というか1つの金字塔とも言える名作。なので、良作アニメ紹介でもこれは外せない。
私がアニメにハマった原点かもしれない(これとOVAの「あぁっ女神さまっ!」)。

名前からして「エースを狙え!」のパロディーと思われるかもしれないし、第1話にはそれが色濃く出ているけど、その後はシリアスな話になっていく。最初のパロディーでつかんでおいて、SF設定やロボット戦で引き込み、お風呂などサービスシーンも配置し、最後に泣かせる進行はさすがである。第6話は今見ても涙なしでは見られない。アニメで泣いたのはアルプスの少女ハイジとかフランダースの犬以来ではなかったろうか(その後もそんなに多くはない)。

監督は後にエヴァンゲリオンを世に出す庵野秀明。これが初監督作品だそうで。原作は初代ガイナックス社長の岡田斗司夫名義になっている。キャラクター原案は美樹本晴彦、音楽は田中公平とそうそうたるメンバー。声優陣も日高のり子、若本規夫など豪華。日高のり子さんの「バスタービーム!」とか「イナズマキーック!!」は名セリフ。「お願いっ、カズミ、戦って!」も。

物語は「宇宙怪獣と人類の生き残りをかけた戦い」と一言で言ってしまえるけど、(一部)似非科学ではあるけどSFとして通用する緻密な設定(エーテル宇宙理論、ウラシマ効果など)、精密な描写(地軸の歪みによリ沖縄で雪が降る)、キャラクター造形の良さ、音楽の良さも相まって、SF作品、ロボット物、人間ドラマなど多くの面で、とても見応えのある作品になっている。とにかく細かい設定や描写が多いので、隅から隅まで、何度も見るべきである。

この右側のロボットの立ち方。腕を組んで仁王立ちするのを「ガイナ立ち」とか言うそうな。この作品を作ったガイナックスのお家芸的立ち姿だから。もちろん、このガンバスターがそのルーツ。作品中での登場はこの絵じゃなくて第4話の「発信!?みかんの最終兵器」じゃなくて「発進!!未完の最終兵器!」での登場シーンだけど。

この作品では、後の庵野作品によく出てくる数々の設定が生まれている。用語(縮退炉とか)、メーターの描写や音響効果などはこの後つくるNHKの「ふしぎの海のナディア」や、あの「エヴァンゲリオン」でも多用されている。庵野設定の原点を知るにはこれを見る必要がある。一部用語はその後アニメの常識になって他の作品に使われているものもあるくらい。「オカエリナサイ」という文字が出てくるときに「イ」が逆向きなのもこの作品の影響(見れば解る)。

「科学講座」というおまけ映像もある。おまけ映像というと、くだらなくて見る価値が無いものがほとんどだけど、これは必見。というか見ないと設定が理解できないかも。おまけじゃなく本編の一部なのかな?

そういえば、女性キャラクターが乳揺れするようになったのはこの作品が初めてかもしれない。「乳揺れ」の元祖ともいえる。しかし最近の巨乳アニメのようにお下劣な揺らし方ではなく、必要な揺れなので女性が見ても安心(^_^;)。しかも揺れるほど成長する過程にもちゃんと伏線が貼ってある(第2話)のが優秀(^_^;;)。

2004年には続編となる「トップをねらえ2!」も作られている。こちらも全6話。
「トップをねらえ!」の後人類はどうなったのかなどが描かれるが、残念なことに超能力(まがい)の力を出してしまったことや、ロボ造形が漫画になってしまったので、前作ほどの思い入れは持てなかった。悪い作品じゃないんだけどね。地球をあれだけ動かしてしまったのにノノリリがちゃんと地球に辿りつけたのが不思議。それは突っ込みどころ。

また、2完結後、前作の音声も5.1CHにして劇場公開された。
この際音声を再録音したそうなのだけど、キャストはほぼ全員同じなんだけど、やっぱりちょっと言い方や発声タイミングの微妙な違いがあって、それがオリジナルを見込んだ人間にとっては違和感しかなくてあまり好きではない。熱くなれないという感じ。

これももちろん?LDでも買った。LDは1枚に2話納めていたので全3枚(VHSも1巻2話だったようだけど)。

第6話は最後の部分を除きモノクロ。思い出を描いているから。カラーより重厚に見える。
この絵は美樹本キャラクターらしさ全開ですな。

なんにせよ、OVA語る上では絶対に外せない1作。すべてのOVAにこの質を求めるのは酷というものだけど、でもこれくらいの志は持ってほしい。最近のファンディスク程度OVAを見るにつけそう思う。

そういえば、この作品で予言された「雷王星」はまだ見つかってないなぁ。というか、冥王星すら準惑星にされちゃったし。

良作アニメ紹介;フィギュア17 つばさ&ヒカル2016年02月20日 06時00分00秒

2001年のアニメ。
「地球に不時着した宇宙人がばらまいてしまった怪生物を退治する」と書けば身もふたもないけど、内気だった少女の心の変遷が主題だろう。

アニメといえば、普通は30分だけど(実質20~23分)、この作品は1時間枠(実質45分)である。それで13話あるので実質26話と思われそうだけど、回が変われば話が切れてしまう事が多いので、意味は違う。
1話は連続した話なので、物語がとても丁寧に描かれている。最近のアニメに慣れているとゆっくりしすぎているように思えるかもしれない。特に初回はそういう感じを受けた。もう少しメリハリは欲しいかも。ある意味アニメというよりドラマに近い。

1時間アニメとしては最近は「刀語」がそうだし、OVAでは「異世界の聖機師物語」がそうだった。どちらも物語が丁寧で後者は好きな作品で何度も見ている。下手なドラマに1時間枠与えるくらいなら、丁寧なアニメに1時間与えてじっくり描かせるほうが良いんじゃないかと思いもするんだけど、この尺を描ききれる監督さんはそうそう居ないかもなぁ、と思ったり。毎週じゃなくて月1回でも良いから(刀語がそうだった)。

各種造形は正直しょぼい。このショボさは「ダイ・ガード」に通じるところがある。そんなところに主眼はないという意思表示か。

主人公の声はクレヨンしんちゃんの矢島晶子さん。他は折笠富美子さん、小山力也さん、井上喜久子さんと有名所が出ている。釘宮理恵さんとか堀江由衣さんも脇役で出ている。まだそういう位置づけの時代の作品。

良作アニメ紹介;モルダイバー2016年02月18日 09時57分20秒

「モルダイバー」。
1993年の作品。オリジナル・ビデオ・アニメーション(OVA)の出始めの頃の作品といえるのか。監督はΖガンダム(1985年)で有名になった北爪宏幸。キャラクターの造形にその色が出ている。

一応美少女ヒーロー物だけどムキムキヒーローも出てくる。

女性声優「ゆかな」さんのデビュー作品。永遠の17歳、井上喜久子さんやボヤッキーの八奈見乗児さんも出てるけど(^_^;)。

主人公は一応萌え要素も含んでいるだろうけど、この時代はまだそういう言葉は確立されてなかったし、それを売りにしている作品でもない。アクションとギャグと物語もそれなりにしっかりしており、全6話だけど、最近のしょぼい1クールアニメに比べて格段に内容がよく、見せてくれる。今でも好きな1作。

ジャケットは例によって北米版DVDのだけど、実はLDも持ってた。
ジェネオンがまだパイオニアLDCだった頃か。

DVDジャケットはLD第6巻の絵を使ってる。
作品中ではVHDがレトロ技術とされてたけど、もうLDもそうなんよね。私も今はLDプレイヤーは持ってないから完全なお蔵入り。というか、もう板は捨てちゃった。ジャケットのみ残してる。昔のは大きいからね。

◎良作アニメ紹介;地球防衛企業ダイ・ガード2016年02月17日 15時37分59秒

ネタがないときに、好きなアニメなどを紹介しようかと。

最初は「地球防衛企業ダイ・ガード」。全26話。1999年の作品だから、もう15年も前になるのか。

私曰く、「リアルロボットアニメの頂点にある作品」。
写真は北米版DVDのジャケット。

リアルロボットといえばガンダムとか、マニアックな人ならダグラムとか言いそうだけど、こと操縦士周りの人間模様という意味で言えば、この作品に勝るものはない。

この作品には萌えは全く無いし、主人公の乗るロボットも敵怪獣もかっこよくはないし戦闘も派手ではない。はっきり言ってしまえば、造形は甚だ単純でしょぼい。でもこの作品の本質はそこにはない。
一般企業がロボットを動かすということがどういうことかとか、戦闘のプロと素人のすれ違いと強調とか、人間模様を見るべき作品なのである。「リアルなロボット」ではなく、「ロボットのあるリアルな世界」の作品とも言えるか。戦闘(待機)中に食事に行ったり洗濯するアニメなんてこれ以外にない。

細かい設定のリアルさも面白い。正しいロケットパンチ、ドリルを描いた作品はこれしか知らない。女子社員の制服が科特隊のものなのはご愛嬌?

第22話の作画が荒れている。セルアニメ時代には時々あったことだけど、この作品でもあった。作画が荒れているというか、塗りがベタになっているというかそんな感じ。その回のダイガードの立ち姿。
この次の回、第23回は戦闘が一切ないのだが、この回がこの作品のメインテーマである。ダイガード、21世紀警備保障の存在意義は戦うことではなく、守ることにあると。単に戦って喜んでいるロボットアニメが多い中、これは貴重なテーマである。

この作品の面白いのは、ロボットが徐々に強化されていくところ。最初は歩くだけで歪むほど装甲が薄いし、モニターはテープでくっつけられているし、中は扇風機で冷やさなきゃいけなし、兵装なんて全く無い。一旦倒れたら立ち上げるのにはクレーンが必要というのもリアル。それが装甲は分厚くなり、エアコンになり、兵装も強化され、自立も可能になっていく。20話を超えると自走して合体も可能になる。コックピットもかなり良くなっている。顔のあたりも動くようになっている。全くさりげなくそれが描かれているので、変遷を楽しんで欲しい。

14話まで見たけど、えっ、大杉課長48歳!?私より若いの?城田さん35歳!?年齢設定おかしいじゃない?全体に老け顔なキャラクター。

全体的に掘り下げが甘いと思うところや突っ込みどころは多々あるけど、他には類を見ないロボット物であり、にも関わらずまず名前を聞くことがない惜しい作品なので最初に紹介したと。

ちょうど今見なおしてるんだけどね。

・・・そういえば、ヘテロダイン(敵の名前)が最初に出現したの、2018年2月じゃん。後2年。EVAも過ぎちゃったけど、現実がアニメを追い越していくのを見るにつけ、歳とったなぁと思う。世界はアニメに全然追いついてないけどね。
(C)おたくら編集局