しまなみ海道リターンズ;考察編(2) ― 2015年07月20日 12時50分00秒
GPSは本編で紹介したとおりGARMINのetreck20を新規調達した。
去年は2+1台ものGPSを持って行きながら、ログを録りそこねてしまった。
1台は、その前の利用で消したはずのログが消えずに残っており、結果1日目の内に容量いっぱいになってしまなみ海道上では動作してなかった。読み出しが特殊で専用ソフトを使用しなければならい上にそれがXP上でしか正常動作しないので、7上でログを消す操作を指定たのに消えてなかったのが原因である(後で分かった)。
1台はなぜか糸山サイクリングターミナルで電源が切れていた。意図せず電源スイッチが押されてしまったと思われる。
+1台はGPS付きカメラだが、実はGPS機能が付いているのを知らなかった。帰ってから気がついたと。
ってなわけで、絶対に複数体制が必要であり、しかも動いていることがはっきりと分かる機種でなくてはならない。
実は去年から今年の間に買ったGPSは実に3台もある。
最初はHOLUXのm-241。比較的低価格(売価で6600円くらい)だが高機能。
こいつは液晶付きで動作しているかどうか一目瞭然だし電源スイッチはスライド式だから、ちょっとやそっとでは切れたりしない。現在の緯度経度が見えたり、移動速度が見えたり、残り記憶可能容量が見えたりと機能満載。
しかし、衛星補足能力がかなり低い。室内はもちろん、室外でも衛星を見失うことがある。しかも一旦見失うと、移動中は再補足に非常に時間がかかる(歩行程度の速度でも)。なので信頼性に欠ける。
2台目はGT-730FL-S。買値で3200円ほど。
そんな感じで2台ハズレを引いたので、「もう安物はダメ」ということで、思い切って買ったのがGARMIN etrex20である。
etrex20には日本語版もあるが、42000円位とかなり高い。一方英語版といういわゆる逆輸入版が比較的安価で売れている。24000円位。英語版ではあるが、実は漢字フォントと日本語地図を入れれば日本でも使えるという情報があった。なれば英語版で行こうと購入した。
Amazonでは英語版とあったが、実際に送られてくるのは中国語版である。経験上、「中国」と聞くと拒否反応を示してしまう身ではあるが、表示言語がそうなだけであって、GARMIN自体はアメリカの会社だし、中国製ではないので問題ない。
しかも、中国語版は標準で漢字が表示できるというメリットが有る。英語版はフォントの導入まで必要なのだが、その手間が(かなり)省ける。日本地図は入ってないので、入れる必要がある。それについてもこちらに書いた。この作業は最初の1回だけである。
液晶画面が付いている分大きくて重いのが欠点ではあるが、etrex20にはそれを差し引いて余りある性能がある。
今回はこのetrex20をメインに据え、m-241をサブに、さらに去年も持って行ってたPoketGPS S1も一応動かし、さらにGPS付きコンパクトデジカメ;Canon PowerShot SX260HSのGPSログ機能もONにしての4台体制で望んだ。その比較をしてみたい。
まずは精度はどうか。周りにほぼ何もない多々羅大橋前後での状況を見る。水色がetrex、黄色がカメラ内蔵、ピンクがm-241、緑が去年も持って行ってたPoketGPS S1。すべてのロガーがほぼ重なっている。衛星補足中の精度はどれも同じくらいであることがわかる。黄色だけ外れて事が多いのは、カメラのロガーの記録間隔が他のに比べ長いため(設定できない)。橋の上での外れ方は異常だけど。
4台ものGPSをかけていても、全てで抜けてしまう場所がある。トンネルに入った時である。まあ、トンネルの中で抜けるのは衛星からの電波が届かないから仕方ないが、問題は出てからの衛星再補足に非常に時間が掛かることにある。
etrex20 の衛星補足能力はそこそこ高いが、トンネルの中や、そうでない場所、たとえば列車内では場所によって見失うことがある(窓際ならいいけど通路側は見失いがちとか)。衛星を見失うとブザーが鳴って、液晶画面にデカデカと「衛星ロスト」と表示される。
そして、一旦見失うと、特に高速移動中は再補足が非常に遅くなることがある。時速290キロ前後の新幹線内でそうなると、30分以上再補足できなかった。山陽新幹線はトンネルが多いので、ログが録れない場所が多いことになる。これは他のGPSも基本的には同じ。写真は新神戸駅前後のトンネルでの状況。すべてのロガーで見失っている。このときはetrexが一番早く再補足しているが新倉敷の手前で見失ってからは、新幹線を降りて在来線に乗り継いだ福山を通り越して、備後赤坂駅付近まで再捕捉できてなかった(下の写真には入ってない)。室内での衛星補足能力の低さが影響して いる(福山駅は構内移動だから)。優秀なのはS1。m-241は一番ダメ。etrex20では衛星電波の受信状況も見ることが出来るのだが、電波の受信とログを記録出来る状態になることとは違うようである。概してetrex20は室内で衛星補足能力は高くない。S1や前に使ってたLEADTEK LR9553は優秀だった。GPS ICの性能の違いだろう。それをあたりまえだと思ってたから、etrex20やm-241が室内でログが取れないのを最初は性能が低すぎると思ったくらい。逆だった。
etrex20には衛星補足状態を見る機能もある。今一体どれくらいの衛星を補足しているのか知りたい時には役に立つ。初期起動時または衛星を見失った後、あとどれくらいで再補足するかの目安にもなる。
余談であるが、車の純正GPSがトンネル内でもナビゲートし続けられるのは、GPS衛星以外のセンサーも使っているため。他社製のはおよそGPS衛星のみだ から、こういう芸当は基本無理。できているように見えるなら、それは車は道路の上しか走らないという条件があるので、見失った位置から先は、そこにある道 路にそって進めているだけはずである。速度は何らかの方法で得ているのだろうけど。
なんといっても液晶で地図を見ることができるので、自分が今どこにいるかがその場でわかるのがいい。特に私は猛烈な方向音痴なので、予想以上に重宝した。これも精度が高くないと無意味なことである。
電池の保ちも特筆すべきだろう。標準のログ記録間隔では、エネループ2本で21時間くらい保つ。常時液晶画面が付いているにもかかわらずだから、この保ちは素晴らしい。もっとも、液晶自体は原理的には電圧さえあれば駆動できるもんだし、GPSは標準では数秒に1回ログを取るだけだから、それほど電気を食うとは思えないが。
しかも切れる前には警告音が出るのでわかる。日中は十分保つことになるから、毎日朝出かける前に交換しておけば電池切れの可能性はない。
m-241はエネループ1本でそんなには保たない。6時間くらいか。なので長く走る時は要注意。また、バッテリーメーターは一応小さく表示されるが、小さすぎて見難い上に見てても突然切れることがあり、安心できない。それ以前に、そんなしょっちゅう画面なんて見てられない。特に走行中は。
PoketGPS S1は電池が少なくなってくるとずっと警告音を出してくれる。電池切れという意味ではこいつが一番安心?でも、これは電源スイッチが押すだけなのが問題。去年電源が切れてたのはこれ。スイッチにカバーを付けたほうがいいかも。
GPSにおいて電池交換ができるかどうかは重要な場合がある。S1を始め多くのGPSは充電式だが、その場合1回の充電でどれだけ保つかを知っておくことが重要になるし、それより長く使うなら、充電器を持ち運ぶ必要がある。m-241もetrex20も電池駆動なので交換電池さえ用意できればよい。今回はエネループを使ったが、単三電池なので、入手は容易だ。S1はすでに充電池の保ちが弱くなっており、それがこれをメインに出来ない理由でもある(2日目の大山祇神社に着いた辺りで切れてしまった)。
隠れた特徴に防水というのもある。今回は幸いな事に雨の中を走ったのは尾道のサイクリングセンターからフェリーまでの僅かな間(せいぜい100m)だけだったが、でもこの間の雨はかなりひどかった。この間はetrexも鞄の中に入れてたので防水性能は関係ないが、一応日常生活以上の防水なので、雨の中でも問題ない。そのために電池の交換がしにくいのではあるが、それは致し方なかろう。電池の保ちと相まって、雨の中電池交換することはありえないのだから。
etrex20は高機能でもあるのだが、何せ英語の取説でも読みにくくてわからない。図が全く無い上にすべての機能については書いてないからだ。外部で作ったコースデータを入れて誘導なども出来るようが、それも実用できなかっ た。もっとも、コースデータを作ること自体がかなり苦労があるのだが。この辺りは手探りで使っていって理解するしかなさそうである。わかったら件のブログ に掲載すると。
etrex20に足りない最大の機能は磁気コンパスだと思う。上位機種の30にはこれがある。いや、20にもコンパスは一応あるのだが、GPSを利用するため停止中は回らないので今自分がどっちの方向を向いているかがわからず、使い物にならない。この先どっちに行けば良いのかの判断に使えない。S1はコンパスがあっただけに残念。
ってなところで、S1が現行機種ならおすすめしたけど、そうではないので今は、GPSを買おうと思うなら、頑張ってGARMIN etrex20買いなはれ、というお話(2016/02/18現在、後継機種の20xというのが出ている様子)。
・・・それにしても、本当に書き上げるのに非常に長い時間がかかった。いや、ネタを書くときはこまめに保存がいいかと。
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