カセットデッキ Victor TD-V707の修理2015年06月21日 06時30分10秒

今回は、いつもとは全く違ったネタを1発。

実家に帰った時、大量のカセットテープを発掘した。録音内容から判断して、最も新しいものでも1995年より前と思われる。ほとんどは1980年代後半のもの。アイドルのものが多く、エアチェック、一番新しいのはX1やX68000で録音したゲーム音楽。一番古そうなのは1970年台。

で、そのまま捨てるのももったいないので、数本持って帰って家のミニコンポ(これもかなり古いもの)のデッキで聞いてみたら、予想に反して音は十分聞けた。

今となっては絶版の音源ばかりなので、これはPCに取り込みたいと思い、箱の中で眠らせていたデッキ;A&DのGX-Z7100を引っ張り出す。しかし、蓋を閉めてもすぐに排出されるという現象で動かず。使うのは多分今回のテープからの吸い上げだけで、今更新品のデッキを買うのももったいないし(そもそももうそんな物はない)ので、オークションでカセットデッキを手に入れるにした。競ること3回目、ようやく、競り落とせた。

機種はVictorのTD-V707という機種。1987年発売のものらしい。当時は7万円くらいしたようだが、3000円以下(送料別)で入手できた。実は失敗した先2回の競りでは(別機種だが)3500円を超えており、結局「待ったかいがあった」と言える。「待てば海路の日和あり」。

到着して早速電源を入れカセットを入れてみると、一応モーターは回っている。録音側の準備をしてから、「その前にヘッドフォンで音も確認してみよう」と思って聞いてみたら、速度が早過ぎる上にかなりムラがある。このままでは使いものにならない。回転がおかしい時はモーターとキャプスタンをつなぐベルトが緩んでたり切れたりするのがありがちだが、この機種はダイレクトドライブだから、それはない。

「故障品掴まされたか!?」と思ったが、古い品をオークションで手に入れたのだから、これはしょうがない。何とかならないかとインターネットで調べてみたら、同様の現象が発生し、修理したという記事を見つけた。
どうやら、この機種ではよく発生する現象らしい。ではあるが、その記事では修理方法が今1つよくわからなかったので、ここにその詳細をあげようとする次第である。
ではあっても、筐体の開け方とかハンダ付けの仕方とか細かいことは省略するので、それくらいのことはわかる人向け。

まずは筐体を開ける。ネジは左右各3本+背面上部に2本。背面の2本は銅めっきネジだ。さすが高級機。
昔のオーディオ機器らしく良い作り。右上がデッキ部。

その下部分に鉄板のようなものがネジ4本で止まっている。これが再生用モーターの制御基板である。
ちなみに上に見えている丸いのが早送り、巻き戻し用モーター。そう、この機種は豪華にも3モーター駆動なのだ。赤矢印の4本のネジを回して外す。もう2つ形の違うネジがあるがそれは回さないこと。
この部分は長いねじ回しは入らなので、短いのが必要。10センチ位までかな。うちでは精密ドライバーの一番大きいのでいけた。

基板を外すには右側にあるこのコネクタを外す必要がある。
左側にも電線が付いているが、これは基板直付で外せない。無理に引っ張らないように。

で、これはモーター制御基板。右にちょっと見えている電線が、上で言った直付の電線。
右側のコイル群は再生用モーターのコイル。ブラシレスモーターなのでモーター本体(回転体)側には磁石のみ、基板側にコイルという構造に成っている。白い突起が軸になる。軸は回転体分を受けるだけ。デュアルキャプスタンなので左側にもホイールが有る。
で、矢印2箇所の電解コンデンサ、これが液漏れしているのが回転数不良の原因。これを取り替える。

アップで見ると、液漏れして基板が腐食しかかっているのがわかる。幸いにもこの機体では2箇所ともパターンがじはがれるまでの腐食ではなかった。
まずはこの古いコンデンサを外すさなければならないが、このはんだがなかなか融けない。後ろに付いている鉄板に熱が逃げてしまうからかもしれない(この鉄板は外せない。最初使ったはんだごてでは熱量が足りず刃が立たなかったので、もう1つ強いので作業。それでもなかなか取れず、結局、ピンセットで揺らしてたら剥がれた。腐食でコンデンサの足が緩んでた様子。

外れたら、基板を清掃。漏れた液のカスをできるだけ取り除き、換えのコンデンサを取り付ける。付いてたのは耐圧16Vの10μF表面実装タイプ。パーツなどを買うのにいつも使うマルツで探してみるも、全く同じものはなかった。あったのは25V品。まあ、耐圧が大きいのは問題ないので早速オンライン発注・・・しようと思ったが、京都は四条寺町に実店舗があるので、送料ももったいないことだし、直に買いに行くことにした。

実はここで1つ問題が発生した。電話して在庫を確認し、とりおきしてもらってから行った。店で「確認して下さい」と言われたが、略称で書かれていたので見てもわからない。まあ、電話で話してあるのだから正しいだろうと思いそのまま買って帰り、ハンダ付けするも「動かない」。

まさかと思って調べてみると、全く違う品であることが判明した。買ったのは「EMVE500ADA1R0MD55G」というものだったが、必要なのは「EMVE250ADA100M55G」だった。型番だけ見てもわからなかったが、こちらを見て判明した。買ったのは50V1.0μF品だ。「店の人間でも間違うことがあるので要注意」という教訓である。

ちなみに、どちらも1セット5個200円(税別)ほど。オンライン購入すると送料が400円ちょっとかかるから、1回間違って買っても、まだ安く済んでる。行く手間はかかってるけど(自転車なので交通費はただ)。

翌日再び出向いて買い直し(実は型番が微妙に違ったが、それは大きさの違いだけだったのでOK)。そして1μF品を外す。10μF品をつけようとするが、1μF品は元々付いてたのとほぼ同じ大きさだったが、25V10μF品は元のより一回りほど大きいのでちょっと付けにくい。基板側およびコンデンサ側に半田を盛って何とかくっつけられた。

実ははんだづけするのは非常に久しぶり。しかも近年は電線ばっかりだったから電子部品はいつ以来だろうか。まして表面実装品は初めてで、そうでなくても小さなものなのに、最近老眼がひどくて見難くて本当に苦労した。

それでもなんとか完了して、基板を元に戻して確認。が、動かない。昨日違う部品を付けて通電したから壊れたか?
念のためモーターが回るかどうか手で回してみると、回らない。どうも軸がぶつかっている感じ。軸と回転体の間の隙間がかなり狭いようなので、基板の向きがわずかでもゆがんでいると干渉してこのようになる様子。基板を戻す時は、モーターを手で回しながら、徐々にネジを締めていく必要がある。

そうやってみたら今度はうまくモーターが回った。回転数も正常。良かった、筐体も閉めて無事修理完了。

部品の問題もあってかなり手間はかかったけど、安く良い品が手に入ってよかった。ダイレクトドライブ、3ヘッドだもんなぁ。とりあえず再生専用でしか考えてないので再生系さえ正常であればそれで良いけど、実はメタルテープの新品をまだたくさん持ってるから、録音もしてみたかったり。

で、実際に出てきた音を聞いてびっくり。かなり良い。というか、10年以上、結構暑くなる部屋で放置されていたテープだが、ほとんど劣化を感じない。さすがにノーマルテープはちょっと音が緩んでいる気がするけど、特にメタルテープは重厚な音がして素晴らしい。最近の音はカスカスなものが多いだけに余計に新鮮だった。こりゃ、残りのテープも持ってこなきゃ。

録音はSDに直接録音できるポータブルレコーダーを持っているので、それを使う。TASCAMのDR-100。これはライン入力も持っている。デッキのRCAステレオをミニプラグに変換するケーブルは持っていたので、それで接続するだけ。まあ、実時間かかるので大変だが、後は気長に作業するだけ。1ヶ月以上掛かりそうだけど。

・・・

私はライン入力が可能なSDレコーダー+変換ケーブルを持っていたのでデッキを買うという選択肢を選んだ。それが一番安く、かつ良い音で録音できるはずだから。

もしデッキはあるというなら、PCに取り込むUSBのアナログ・デジタルオーディオ変換ケーブルを買う(4000円前後)てもあろう。しかし、録音中ずっとPCを起動させ続けなければならないのは、電気代のこともあり、ちょいともったいない。

単体でカセットをSDに録音するプレイヤーも売れているが、どれもとりあえずの品で、音質は言うに及ばず、回転ムラがひどく60分以上のテープでは使えないようなものもあるらしい。というか、5000円以下くらいではそんな品しかない様子。中国製の粗悪品というところだろう。私の手持ちのテープは90分が一番多いはずだから(昔はLPを1枚録音するのに46分テープをよく使ったが、片面に1枚録音できる90分のほうが便利なので多用したのだ)、そんな機械は使えない。だからこそデッキを選んだわけである。

で、A&Dのデッキはどうするか。その後の調査で、こちらうちとも同じ現象が発生していて修理したという記事を見つけた。こちらはピンチローラーのグリスが固着して動かなくなっているためらしく、実際うちの機体でも調べたらそうだった。一応修理は試み、無理やり外そうともしてみたが、そうするためにはほぼ全分解しなければデッキブロックが抜く出せないという凶悪な構造であるとわかり断念した。ケーブル1本外すのに筐体の底面も外し、基板も外さなきゃいけないなんて、メンテナンス性皆無と思える構造。

でも、グリスの固着なら、それを科学的に溶かしてやれば治るんじゃないか、という気もしている。いずれチャレンジできれば紹介したい。

ということで、毛色の違うネタは終わり。実は時々修理ネタは(別のところで)書いてるんだけど、ここに出すのは初めて。ランク100位以内記念ということで。

コメント

_ marimo ― 2017年07月08日 06時47分16秒

貴重な情報ありがとうございます。大変参考になりました。実はTD-V515が再生・早送りはいいのですが巻き戻しができません。巻き戻しのモーターが5秒ほど、回転音がするのですが動かずそのまま止まってしまいます。何か検知機能の不良ならどうにかできないものでしょうか。と、厚かましいご相談ですけど。

_ LeDA ― 2017年07月08日 07時22分49秒

V515がどういう機種かは知りませんが、この時期のカセットデッキはモーターが直結している軸とは逆側の軸が回転していない場合停止するようになっていることが多いみたいです。V707もそうですし、A&Dのもそのようでした。
モーターの停止をさせなくすることは出来るかも知れませんが、そもそもモーターが回転しないのはどうにもなりません。
別の機体から移植するか、軸がグリースで固着しているようなら、化学的に溶かすかでしょう。
巻き戻しだけなら「裏返して早送り」で切り抜ける手はあるとは思いますが。面倒ですけど。

回転検出は、この時期の機種は多くが回転するモーターと反対側の軸の回転を検出しているようなので、それをなんとかすれば行けるとは思います。磁気を検出するホール素子を使っているならどうにもならんのですが、スリットとランプで光学的に検出している場合は、ごまかすことは出来るかも知れません。

いずれにしてもお力にはなれそうにありません。あしからず。

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