良作アニメ紹介;すごいよ!マサルさん2016年03月23日 09時35分10秒

「すごいよ!マサルさん」は1998年の作品、大地丙太郎監督。全48話あるけど、1話は短いので3枚で収まっている。最後の2話は総集編。

実は私が初めて買ったDVD。しかも出張先の秋葉原で入った店でたまたま見つけたのを衝動買いしてしまった。ひょっとしたら、カードで物を購入したのもこれが初めてかも。

関西ではその直前から深夜アニメとして数話をまとめて放映されていた。普段はアニメの話なんて滅多にしない同僚(当時)とも、その余りに「すごい」内容で盛り上がったのを覚えている。


内容のはちゃめちゃさは原作に依るのだろうけど、それを、うえだゆうじ、小西寛子他、これ以外にないというほどばっちりな声優陣とアニメーションで再現した大地監督の手腕には脱帽。というか、これを知ってから大地監督作品を見るようになった。

いろんなネタが出てくるけど、一番はまったのは「よろしく仮面」。その主題歌は今でも歌えてしまう。「セプテンバーよろしく~♪来月から、よろしく~♪」

今でも笑い時は見る1作。見るときは何も考えちゃだめ。

良作アニメ紹介;オーバーマン キングゲイナー2016年03月18日 07時45分15秒

2002~3年のTVアニメ。WOWWOWの有料枠でやっていたそうな。私が知ったのはDVDになってから。
全26話。富野由悠季監督作品。

環境変動によって人類が(基本的に)ドームの中でしか生きられない時代、そのドームを管理している「シベリア鉄道」支配から脱出し、伝説の地「ヤーパン」に行こうという物語。無理矢理引き込まれた主人公の脱出そのものへの葛藤とか、シベリヤ鉄道との攻防とかがあり、その中で出てくる一番強い武器が「オーバーマン」というロボットだけど、ロボット戦というより、人間の同士の戦いが中心である。戦いだけじゃなくて関係が描かれており、人間物語と言える。
オーバーマンは謎の技術で作られてので、最初は使っていたけど、最後には取り込まれたりといろいろある。外見的にも機能的にも生物的なところがある。そのあたりはイデオン的とも言えるが、それはロボの設定だけであって、物語は全然違う。

富野作品と言えば、登場人物が軒並み死んだり(イデオン)、廃人になったり(Zガンダム)と悲惨な物語が多かったのだけど、この作品はエンターテイメントに徹している。敵味方共に死ぬのは1人だけとなっている(途中、こりゃだめだと思っても最終回で回収されている)。
オープニング曲は昔のアニメのように主人公の名前を連呼するし、踊っているし、昔の楽しいアニメのエッセンスが詰め込まれている。

一応物語は終えてあるけど、エクソダス自体は終わっておらず「俺たちの戦いはまだ続く」的な感じもあるので、続編があれば良いのになぁと思っている一作。

そう言えば、キャラクター絵柄がそれまでの富野作品とは異なり、(富野作品ではないけど)「エウレカセブン」、最近では「ガンダム Gのレコンギスタ」のそれに似ている。吉田健一という人の作画だそうな。こういう一目で誰のとわかるデザイン屋さん、美樹本晴彦とか他にも何人か知っている。特徴があって、作品の物語にさえ合ってさえいれば良いと思う。

でも、それがキャラクターの描き分けを初め上手であれば良いのだけど、中には「ガンダムSEED」や「蒼穹のファフ ナー」の平井久司のように、登場人物全員が同じ顔にしか見えない人も居て、見る度に「これはいかんよなぁ」と思う。松本零士は女性がどの作品でも同じ顔だが男性はいろいろバリエーションがある。でもこの人は男女とも、どの作品でも、全く同じ。「一度作ったキャラクターを全作品でコピーしているだけ」とも思える。せいぜい髪型くらいでしか区別が出来ない。だから、いつもそれが 誰なんだか解らなくなる。もうちょっと周りの人が指摘してあげるか、メインの造形者にはしないかすべきだと思う(断言)。こういうキャラクター造形を採用すると、作品そのものの評価を下げてしまうのではないか。恨みは全くないが、少なくとも私的にはこの人のキャラクターが出て来た段階で評価は半減する。

Gのレコンギスタはアイキャッチ(CM前後の小アニメ)の踊りも含め、キングゲイナーの影響をあちこちに見ることが出来る。ただ、レコンギスタは登場人物が多く、その立ち位置も解りにくく、それを補うためか台詞で語り過ぎなのではっきり言って物語がよくわからなかった。主人公の行動原理が最後まで理解できなかった。詰め込みすぎ。

それに比べ、このキングゲイナーは各人物の行動原理=性格が基本的に単純なのでとてもわかりやすい。なので素直に楽しめる。敵も味方も含め。むしろ敵側の方が個性的でおもしろいかも。エンターテイメントというなら、これくらい出なきゃいけない。そのあたりの配分が絶妙である。富野作品の中では一番じゃなかろうか。

(敬称略)

◎良作アニメ紹介;イヴの時間2016年03月15日 08時07分00秒

「イヴの時間」。
2008年からWebアニメーションとして順次公開されていた。1話15分で全6話。
2010年に、それらをまとめ、一部カット、一部新規カット追加で劇場公開された。

元の公開版も好きだったけど、1話ごとのDVDを買うと高いので買えなかった。それが劇場版になったので買った。
(後日、元版6話を1枚にまとめたBDも発売されたので買った)。

人間と見た目区別が付かないようなアンドロイドが実現された世界。
アンドロイドは法律上標識を表示しなければならないが、それを取れば見た目も受け答えも人間と区別できない。
イヴという喫茶店では「当店では人間とロボットを区別しません」としてその標識を表示させない。すなわち、アンドロイドと人間がお互いがどちらであるかを知らないまま話をしていく。見た目の違いなくなり、応答も人間と変わりないとき、果たして相手がどちらであるか解るか、というより、区別する必要があるのか、と言うことを中心に話が展開される。

アンドロイドとの関係を描きながら、実は人間の定義とは何かというのを語っている。人間の動物との違いというのは過去からいろいろと語られている。道具を使うとか趣味があるとか。それぞれ反例が示されたりして未だ定義できないところだろうけど、さてもう一歩進んでロボットがこのアニメのごとく進化したときにその定義は同すべきなのか、と言うことが主題とも言える。相手の気持ち。似ているけど全然違う両者。「あなたは私のことどう思っているの」。と言う台詞に集約されている。本当の意味で、アンドロイドと人間の違いとは何かとか。その点で、各話のシナリオが絶妙でとてもおもしろい。各台詞にも意味がある。最終話のアンドロイドの目にある線は造形ではなく涙の跡であるとか、こまかい描写にもこだわりがあるので捜すと良い。

実際、人間は、某宗教のように神に創造されたとか言うのを初めとして、ことさらに自分たちを特別な物と思いたがっているけど、それは完全な思い上がり。しかし何かにつけて特別製をアピールするというか誇示したがる。この作品では
アンドロイドを人間の尊厳を奪う物として毛嫌いする「倫理委員会」というのをその立場において、その関係性も描いている。ただ、この作品では別に倫理委員会と戦ってアンドロイドの人権をつかもうとかそういう事を行っているのではない。主眼はそちらにはなく、あくまで関係性と定義に置かれている。人間ではなくても人間と対等に意思疎通できるなら、それはもう人として認識しても良いのではないかというメッセージだと受け取ったがどうだろうか。

劇場版とWeb公開版の違いについて。、両者を並べて見比べはしてないのだけど、劇場版では、オープニングが流れる前にある各話の導入部分のシーンが軒並みカットされている。終わりも少し。第4話はカットが多いように思う。登場人物も一部カットされてる(その出てくる場面)。特に最終話の終わりがカットされ、逆に、重要な場面追加がなされていることで、イヴのマスターの行動の理由がわかると同時に、物語のまとめ方が大きく変わった。

音については、音楽がだいぶ差し替えられていると思う。1話ごとに盛り上げる必要があるWeb公開版では派手目な音楽だが、劇場版はそうしてない。それ以上に違うと思うのは、Web公開版は(特に最初の1~2話で)台詞音がこもっているのだが、劇場版はそれが解消されている。これはWebで見ているときから気になっていたので、直されて良かったと思う。

作画はCGがふんだんに使われているが、CG臭くはない。絵には萌え要素はない。あるとこの物語の本筋が解らなくなるので、これは良いことだと思う。

というところで劇場版は是非、時間があればWeb公開版も見ると良いと思う。かなりのお勧め。

細かい突っ込み。
アンドロイドからデータ(GPSログみたいな物)を吸い上げるときの音がHDDのヘッドが動く音だったんだけど、動く物にHDDなんて積んでて大丈夫なの?と思った。

作品中、アンドロイド依存症を「ドリ系」と呼ぶって言ってるけど、もし本当にいたら、私はなりそう。人間の友達少ないから(T_T)。

2016/03/25追記:
3/31まで、Web配信版がGyaoで無料公開されているので、見てない人は是非。

良作アニメ紹介;ザ・サード2016年03月14日 14時50分00秒

「ザ・サード~蒼い瞳の少女~」は2006年の作品で全24話。

戦争のために砂漠化してしまった惑星で、冒険者のようなことをしている少女が謎の青年と出会って旅を続ける物語。戦争を起こさせないために人類に与える技術を管理している「ザ・サード」と呼ばれる第3の目を持つ管理者との関わりも含めて物語を描いていく。
謎の青年は、実は外の世界から来てこの世界の有り様を観察する「監視者」。なのでザ・サードに対しても超越的な立場で対応する。まあ、それは最後になって解ることだけど、うまい世界設定を合わせてのめり込ませる物語になっている。

一応ロボットも出てくるし、戦闘も多めだけど、物語としてはそれは主題ではない。
この作品が非常に残念なのは、作画が荒れることが多いこと。
昔のアニメでは納期に間に合わなくて作画が崩壊する作品が少なからずあった。「作画崩壊」でWikipedeiaで検索すると出てくると思う。そういうものでもDVD化の時に修正されることが多いのだけど、この作品は修正されてないのか修正してこの程度なのか解らないけど、かなりひどいところがある。
砂漠の世界なので背景描画なんてほとんどないはずなのにこの荒れ方はどうしたもんかなぁと思う。

なんか原作は不定期ながらもまだ続いているそう。設定を広げすぎて収拾が付くのかどうか。

良作アニメ紹介;こわれかけのオルゴール2016年03月06日 07時22分37秒

「こわれかけのオルゴール」は2009年の同人アニメ。2010年には新作カットを追加して劇場公開もされた。
監督は川口敬一郎。キャラクターはPOPさん。

私は同人配布版(DVD)も劇場版(BD)も両方持ってる。

未来の日本、ペアレンツと呼ばれるアンドロイドが実用化された世界。家族を事故で失ってから茫然自失であった青年が、故障して廃棄されたペアレンツを拾って、一夏の間生活を共にする間に心を取り戻す話、という感じ。
30分アニメなので物語は非常にテンポよく進むけど、いい話だけにちょっともったいない気もする。

イラスト冊子が付いているのだけど、そこで同人アニメについても少し語られている。なんかすごいお金がかかるそうで。それを思うと毎週、それを13話からもっと続けるというのはすごいことなのだと思う。これは見た目以上に立派な産業なのだ。

劇場版は、見比べてないけど、同人版と、本編はほとんど違いはないと思う。ただ、時間が微妙に異なるので新作カットが多少あるとは思う。それとは別に、 他のペアレンツとのからみの小話が追加されている。こういうこともあっただろうなぁ、というサブイベント話。本編とはあまり関係ない話。
・・・
川口敬一郎さんとPOPさんは、この以前に「もえたん」というアニメで一緒している。POPさんの絵柄はいわゆるロリ絵だけど、「オルゴール」ではそういう演出は一切なかった。でも「もえたん」ではそのあたり全開という感じ。TV放映やネット配信版では「不自然な光」が多数入っていたが、DVD版では一切になく、かなり過激な描写がなされていることがわかる。
「もえたん」とは「萌える英単語」の略みたいなもので、いろんな英単語をアニメネタとかで説明する英単語参考書である。現物は見たことがない。このアニメはそのキャラクターを使ってはいるけど、基本的にはアニメオリジナルの物語。一応作品中で英語を教えるという場面があって、そこでアニメネタの例文が紹介されてはいるが。

ロリ絵にさえ抵抗がなければ、物語としては見るに耐えるのでよろしいかと。いずれ他の作品で紹介するかもしれないけど、川口敬一郎さんもハズレが少ない監督さん。今季は「ファンタシースターオンライン2」「おしえて!ギャル子ちゃん」ともう1作ネット配信のアニメの3本を同時に監督しているそうで、大丈夫か?

◎良作アニメ紹介;R.O.D2016年03月01日 16時46分53秒

「R.O.D -READ OR DIE-」
2001~2年に作成されたOVA。全3話。
超人と呼ばれる悪の組織(?)と戦う紙使いと呼ばれる能力を持ったエージェントの戦いを描いた作品。
脚本:倉田英之、監督:舛成孝二のコンビで作っている。このコンビは他にもいろんな作品で一緒にやってるけど、萌や(巨乳を含む)エロに頼らず、設定と物語で見せるのが力量で、この作品では「紙使い」という設定が素晴らしい。
特に倉田さんのいろいろなことに対する造詣の深さがこの作品には活かされている。この2人が組んでいる作品もハズレがないと行って良いだろう。「かみちゅ!」とか「宇宙ショーへようこそ」などある。

設定が良いので3回で終わらすのもったいないなぁと思った。それがやがてTHE TVにつながっていくのは嬉しい事だった。

これ、北米版で買ったけど、最初のは途中でノイズが入る不良品だった。というかあちらではそれでそのまま正規の商品だった。あちらの品質チェックがいかにザルかを思い知った。で、修正された版も買った。だから2枚持ってる。
日本でこういうことあったら速攻で修正版が配布されるんだろうけど、あちらでは平気で1年後とかある。ノイズだけならまだ我慢もできるけど、再生できないとか言うのも結構あるからなぁ。1枚限りの不良のことが多いけど、ロット不良
=全数不良もある。多分プレスして全く再生テストとかしないまま売ってるんだろうなぁ。だから安いのか。
(会社で導入したアメリカ製PC50台全数不良という壮絶な経験もある。ソフトのプレインストールミス。全数CDから入れ直したんだけど、そのためにはCDドライブを組み入れなきゃいけない個体も多くて、でもネジがはまらなくてひどくく苦労した。中国の品質が悪いのは知られてるけど、アメリカンも結構ひどい。日本製は本当に品質がいいのだ。)

・・・

「R.O.D. - THE TV-」
2003~4年に放映された作品。全26話。
OVAの5年後を描いた・・・じゃなくて舞台とした作品。
主人公を紙使い姉妹と女性作家にして、ある意味「世界統一」をしようとする組織と成り行き上の戦いを描く。正義の味方じゃなくて「守りたい」から戦ったら結果的に世界を救ったという感じ。
最初のうちはOVAとはほとんど接点がないように見えるけど、真ん中で接して、後半はOVA後にあった「事件」へとつながっていく。前半が終わった時に一応軽く説明の回が入るのでOVAの話は知らなくてもいいけど、やっぱり見ていた方がより設定がわかると思う。

OVAより以上に設定が絶妙で素晴らしい。グイグイ引き込まれる。後半はどんどん追いつめられていって「どうなるの!?」と思うけど、最後は一応ハッピーエンドになるし。倉田さんの知識がフルに生かされている。並の脚本家では作り得ないだろう。それを描き切った監督もいい仕事してる。しかもこれが原作無しのTVオリジナルなのだから、すごいとしか言いようが無い。

さらに、作画においてもほとんど手抜きがないし、音声はなんと5.1CHである(OVAも)。TV放送アニメで5.1CHのものは、私はこれ以外に知らない(本放送時は2CHだったのかもしれないけど)。まあ、それがフルに活かされているのはドラキュラの本の話の回だけなのだけど。
→「フルメタル・パニック! The Second Raid」もそうだった。

音楽も好き。最近のアニメでは歌謡曲をオープニングに使ったりするけど、この作品では歌なしの楽曲である。それがオープニングと合わさっていい感じである。ちなみOVAと同じ曲なんだけど、テンポとアレンジが違うのでちょっと違って聞こえる。あの関係ない歌謡曲をオープニングや主題歌にするのなんとかできんのかねぇ。特に下手な歌手(声優?)が歌っているのを聞くと腹が立ってしまう。曲をちゃんと聞きたいと思う作品なんてしばらく出会ってないなぁ。
まったく、最近の、物語も描画もお粗末な乱造アニメとは明らかに格が違う。

ということで、今まで何作か紹介してきたけど、その中でもTVアニメの中では最高位に入る1作。すべての人におすすめ。

良作アニメ紹介;十兵衛ちゃん2016年02月29日 08時12分13秒

「十兵衛ちゃん -ラブリー眼帯の秘密-」。大地丙太郎(だいちあきたろう)監督。
1999年の作品で全13話。

突如、2代目柳生十兵衛に選ばれた女の子「菜ノ花自由」。その、十兵衛に恨みを持つ一族と戦う一方、「自由」の苦悩を描く。
大地監督らしいギャグを交えながら、シリアスな部分もあって見せてくれる。

大地丙太郎監督といえば、たぶんNHKの「おじゃる丸」が一番有名と思うけど、この作品とか「すごいよ!!マサルさん」
、最近では「ポヨポヨ観察日記」「神様はじめました」などを作っている。ギャグを全面に出す作品なら見たら一発でわかるし、それを前面に出さない作品でも何となく作風で分かる。たまにギャグを封じた作品もあるらしいけど、個人的にはそういうのはちょっと苦手。
私が初めて知ったのは「マサルさん」。衝撃的だった。初めてDVDを買ったのもそうだったかもしれない。出張中、秋葉原で見つけて買ってしまった。そういう思い出。

この作品は5年後の2004年に続編「十兵衛ちゃん2 -シベリア柳生の逆襲-」が作られている。
こちらも全13話。
前作で十兵衛から開放されたはずの自由に再び十兵衛に成ることを迫る者、シベリアからやってきな謎の刺客との戦いを描く。十兵衛に成ることを頑なに拒み続ける自由が、最後は十兵衛の呪いを完全に解く。ホロリともさせる。

実はアニメで正確な刀さばきや殺陣が描かれることはそれほどない。面倒だからだ。ところが大地監督は十兵衛ちゃんの後の「風まかせ月影蘭」のような完全な時代劇を含め、かなり正確な剣術を描いている。十兵衛ちゃん2にもそれが活かされていて、迫力がある殺陣回しになっている(十兵衛ちゃんではそうでもないかも)。これは登場人物の一人を演じていた名塚佳織さんが自身でも剣術を習い始めたという言葉でもわかる。

そういえば、この作品、1作目と2作目で主人公の声を担当している声優さんが異なる。最初は小西寛子さんで、後が堀江由衣さん。声質は似ているので違和感はあまりないけど、なぜ?と思った。小西寛子さんといえば、当時主人公声を多数演じていた声優さんだが、ある時から急に出なくなった。この辺りの話はWikipediaにも書かれていないところを見ると、業界で一種のタブー視されているのかもしれない。一応それとなく知ってるけど、本人というより、周りの問題。そのとばっちりを受けたというところか。名作ゲームGRANDIA IIでも主人公の声をされていただけに極めて残念。おそらく、これ以降声優さんの扱いというか事務所との契約関係が大幅に見なおされたんじゃないかと思ったり。
後援会などでナレーションを務められていたとも聞いたが、最近は歌手として活動されているらしい。また声優されると良いな。

良作アニメ紹介;住めば都のコスモス荘2016年02月28日 07時48分47秒

「住めば都のコスモス荘」。というよりも「すっとこ大戦ドッコイダー」の方が通ると思う。というか「ドッコイダー」って言われなきゃ、私もわからない。
2003年の作品で全12話。

宇宙人のバトルスーツの選定試験のサンプルに選ばれた主人公が、その提供会社の社員、ライバル、敵役とも正体を隠しながら同居するというギャグアニメ。

これは妙にツボにはまって好きな1作。いろんなジャンルのキャラクターがいて、その絡みがうまい。ギャグだけかとおもいきや人情的?裏事情の話があったりで飽きさせない。


日本版は1枚2話収録の全6巻、北米版は1枚4話収録の全3巻だった。これにかぎらず、日本版は1枚の収録話数が少なすぎ。画質はその分良いんだけど、 はっきり言って取り回しが面倒なのだ。12話見るのに6回もディスクを入れ替えるなんて面倒な事この上ない。その都度集中が途切れるのもいけない。保存場所も取るし。DVDのケースは分厚すぎるのだ。半分で十分(北米の再販廉価版にはスリムケースが多い。私はほとんどスリムケースに入れ替えている)。

北米版は画質は確かに落ちるし、日本語音声も音質下げられていることもあるけど、見られないほどじゃない。私は画質より内容重視だから、余計そう思う。本当に画質がほしい時は日本版買うし。BDで容量の問題は解決したはずなのに、相変わらず1枚2話とか舐めてる。それくらいに分割しなきゃ儲からないのかもしれないけど、その儲け主義が北米版に流れているということも認識して欲しい。最近の北米版はそれ対策されていて極めて不快だけど。

とはいえ、ドッコイダーを日米両版で持っているわけではない。日本版を中古で集めてたけど、出物がなく揃わなかったので北米版で買い直した。当時はDVDレコーダー(東芝RD)で本放送を録画してたけど、深夜アニメはしょっちゅう時間がずれて録画ミスが多発してやむを得ずDVD買った。あの時間ずらしも板を買わせるための策略なんじゃないかと思ったりする今日このごろ。今使っているBDレコーダー(Pana)はその辺りの補正が極めて優秀で取り逃しはほぼない。

そういえば、声優の浪川大輔さんを認識するようになったのはこの作品が最初かも。他にも釘宮理恵、三石琴乃、大原さやか、緒方賢一ほかそうそうたるメンバーが演じている。

そうそう、日本版には映像特典があるけど、全く見る価値無し。私が「映像特典ではDVD/BDは買わない」と決めるきっかけになった記念すべき?1作である。

良作アニメ紹介;蟲師2016年02月27日 08時32分08秒

「蟲師」(むしし)
漆原友紀さん原作の漫画をアニメ化したもの。第1期が2005年全26話。


生命の根源に近い存在である「蟲」と、それを扱うことを生業とする蟲師「ギンコ」の話。ホラー的要素のある話もあるけど全体的にはそうじゃないし、妖怪ものでもないし、一種独特の世界を作っている。江戸と明治の間という架空の時代設定らしい。ちょっと懐かしさを思わせるこの時代設定も絶妙。

これは完全に大人向けアニメ。NHKでやってもおかしくないような感じ(最近のNHKはセーラームーン、進撃の巨人、ラブライブも放映するくらい寛容だけど)。

原作は全10巻で、第1期では6巻までを再現してた。残りもやってほしいなあと思っていたら、なんと9年後の2014年に実現した。特別編はオリジナルの話、第2期が20話で原作ほぼ全話作成された。残り1話が2015年に映画になったらしいが知らなかった。

原作も読んだけど、順番は入れ替わっているが内容はほぼそのまま再現されている。絵の雰囲気も含めて。原作の絵柄に声と音とがついて幻想的な雰囲気が一層増している。
決してハッピーエンドだけではないし、なにか訴えることあるわけでもないが、見せる力がある。ほんとうに独特の世界。

実写映画化もされたけど、余りに中途半端かつ原作の設定を無視している部分があるのであまりおすすめしない。
なので、アニメで見て欲しい1作。

◎良作アニメ紹介;クレヨンしんちゃん(後編)2016年02月26日 07時52分00秒

いよいよベスト3。

第3位は「逆襲のロボとーちゃん」。監督は「高橋渉」。
オトナ帝国以降のしんちゃんで泣くほど感動することはない、というか感動路線は封印されたような感があったけど、この作品では久しぶりにその方向に向いた。
ウィル・スミス主演の「アイ・ロボット」と言う映画があるけど、ちょっとそれに似た描写がある。個人の確定は、見た目ではなくその行動によって示される、というテーマか。

第2位は「モーレツオトナ帝国の逆襲」。監督は「原恵一」。
この映画は40~50歳代の人には直撃だろう。余りに懐かしくて最初の5分で哀愁いっぱいになる。
千里万博会場は実家から歩いても行ける距離だったから思い入れはある。残念ながら5歳程度ではそれほど記憶はないが。サリーちゃんも懐かしい。スバル360も現役時代を知ってるし、TOYOTA2000GTの実写は見たことないけど、よく似た形のヨタ8は友人が乗ってたので知ってる。今あんな面白い車はできないだろうなぁ。安全対策などのせいで。など、出てくるものも懐かしいし、そもそも昭和年間の雰囲気がたまらない。あの当時のすべてが良いとは言わないけど(禁煙がだけは今のほうが圧倒的に良い)、今の礼儀のない、人間性を失った世界より騙して殺してなんぼの世の中が良いはずがない。

「イエスタデイ・ワンス・モア」が本当にあったら絶対に入隊する。京都支部・・・はちょっと人多くなりそうなので、「柏崎支部」は任せろ!!(^_^;)

音は5.1chサラウンドだけど、シンちゃんたちが隠れた子供ハウスの周りを回る時、音も回るのが面白い。ぜひサラウンドで聞いて欲しい。


第1位は「戦国大合戦」。これも監督は「原恵一」。
しんちゃん映画だけでなく、私の(少ないけど)見た全ての映画の中で、邦画・洋画を問わずダントツのNo.1。
まさかしんちゃんで悲恋が描かれるとは思わなかった。しんちゃんでこの物語は反則だろう、とも思うほど。
でも、ちゃんとしんちゃんらしいギャグもあって、そのバランスが絶妙。

さらに細かい描写がとにかく正確。武士の戦闘というものはああいうものらしい。槍での戦闘(槍は突くんじゃないぜ)、(初期の)鉄砲の威力、軍配、戦いの始まりと終わりなど枚挙にいとまがない。実写でもこれ以上のものはない。逆に実写ではこれほど正確にするとお金がかかりすぎると言う話もある。実写というと「BALLAD 名もなき恋のうた」で一応なされている、どうだかなぁ。録画したけど見てない。

音作りもさり気なく良い。環境音がいい味出してる。鳥の鳴き声とか。機会があればサラウンドで聞いて欲しい。

何度見ても最後は泣かずにいられない。至高の1作。
オトナ帝国とこれとどちらを1位にするかは迷うところだけど、オトナ帝国は40~50歳代に特に共感する部分があるのに対し、戦国大合戦はすべての世代に通じると思うから。
実はこれは2枚買ってる。1枚は扱いをしくじって傷をつけてしまったから。日本版で2枚買ったのはこれと先に紹介のカードキャプターさくら映画のみ。それだけの価値あり。
さらに、オトナ帝国と戦国大合戦の2作はBD出たらまた買うだろうなぁ。原恵一監督分をまとめて出して欲しいけど。

・・・

原恵一監督作品については他のも一応少しずつ語っておきたい。
「暗黒タマタマ大追跡」は原恵一初監督作品。面白いんだけど、初回で気合が入りすぎたのか、余りにいろいろ詰め込みすぎてまとまりがついてない感じがする。クレヨンしんちゃん映画ではこれまでオカマキャラを登場させるというフォーマットがあって、原恵一監督もこの作品まではそれを踏襲しているけど、これ以降は(ちょっとそれっぽい人入るにせよ基本)切っている。それは良い判断だったと思う。無理やり入れて話を曲げるよりよほど良い。
「嵐を呼ぶジャングル」は人間としてのアクション仮面の葛藤の描写が素晴らしいが、子供向けとしてはどうかと思った。ちょっと苦手な1作。

ベスト7に入れなかったけど、音だけで言えば「踊れ!アミーゴ!」が一番。特に重低音の使い方が素晴らしい。重低音の使い方では、私の見た作品の中で一番かも。良いオーディ装置を持っている人は音量上げて聞いて欲しい。ご近所迷惑にならない程度に。
しんちゃん映画は音については特筆すべきものはあまりないんだけど、アミーゴ(とオトナ帝国の一部)だけは別格。

いっぽうで、最低の作品は「金矛の勇者」。本郷みつるさんが久しぶりに監督についた作品だけど、なんか途中まで誰かが作ったのを無理やり引き継がされたのではないかと思うほどデキが悪い。敵との追いかけっこの場面が手抜きのもろCGでしかも冗長。物語もいまいち。

最初にも書いたけど、クレヨンしんちゃんは子供に見せるべきアニメである。下品?あれくらいのこと、子供なら普通。いつかは自分で恥じ入る時が来る。心配する必要などない。それより、コナンで殺人が当たり前なんて思う方がよほど怖い。

・・・

そうそう、しんちゃん映画で語っておくべきことがあった。
しんちゃん映画にはアニメの真髄がある。やっぱりアニメは動いてなんぼ。物語も大切だけど、動かないとアニメである意味が無いわけで、それは造形の綺麗さに優先される。しんちゃんは映画でも造形は細かくない。描きこまれた部分なんてない。でも動きは秀逸。だから面白い。オトナ帝国のタワーを駆け上るしんちゃんの描写なんて傑作だ。これはもっと評価されるべきだと思う。描きこまれ方で高く評価されるアニメもあるけど、それで動きが悪かったら本末転倒(「AKIRA」は描写で高評価だけど、個人的にはそんな良い「アニメ」とは思ってない。)。

あと進行が早いのもいいところ。基本子供が多数見るアニメなわけで、その分子供が耐えられる=飽きない時間になっている。その制約の中で描くから冗長性がないし、物語にもメリハリがある。長くても冗長なだけの作品も結構ある中で、この取捨選択は見事だといえる。もちろん、すべての作品でそれが成功しているわけじゃないので、それがしんちゃん映画の中での評価の高低につながっている。

ってなところで「しんちゃん論」終わり。
「オトナ帝国」と「戦国大合戦」は日本人なら全員見て。
以上。
(C)おたくら編集局